
こんにちは、建築科です! 今回「3年生 建築施工」の授業で、学期毎に1回以上実施している特別授業について報告します。
1学期は『ディベート大会』方式を取り入れました。4月30日から5月7日にかけて全3回にわたり実施した、建築施工の特別授業「建築は都市をどう変えるか? ― 岡山新アリーナの最適解を設計・検証する」の様子をレポートします。
■ 工業高校生として「街の未来」を本気で考える
今回3年生は、岡山県で熱い注目を集めている「岡山新アリーナ構想」をテーマに議論しました。この構想は、都市計画、構造デザイン、そして公共性という、建築の根幹を学ぶのに最高の題材です。 生徒たちは単なる一市民としてではなく、「建設技術者の卵」というプロの視点で、このプロジェクトの実態と課題に向き合いました。
■ 徹底的なリサーチと「エビデンス」の構築
第1回・第2回の授業では、徹底した現状分析を行いました。
- 多角的な分析: 行政の主張だけでなく、周辺住民や経済界、スポーツ団体など、異なる立場の主張をマッピング。
- データ活用: 予定地の延床面積や総工費を精査し、SAGAアリーナや沖縄アリーナといった先行事例との比較研究を実施。
- 建築科らしいプレゼン準備: 文章メインではなく、図面や写真を駆使した「視覚的・直感的」に伝わるスライドを制作。相手の反論を予測する「メタ認知」を取り入れた作戦会議も行われました。











■ 「建てる・建てない」の二元論を超えて
最終日の5月7日には、クラスを「賛成派」と「慎重派」に分けたディベート大会を開催しました。 会場はプレゼンター席と審判席を「コの字」に配置した本格的なスタイルです。議論では、「駐車場確保には既存の立体駐車場の駐車台数と集客予測のバランスを見て必要であれば立駐拡張で対応する」といった、具体的な建築的工夫(代替案)が飛び出しました。
審判役の生徒たちも、どちらの意見がより論理的か、データに基づいているかを真剣にジャッジしました。
授業後は、特別授業の振り返りを配信し、自分たちの活動を自己評価したり、意識の変化などをリサーチします。自分事として時事的な話題に触れながら、自分の意見を持つことが大切だと気づいてくれています。


■ 授業の結びに「建築家の職能とは」
ディベートは、相手を負かすことではありません。 慎重派を単に論破するのではなく、「それなら建ててもいい」と納得できる「第3の案(アウフヘーベン)」を導き出すこと。他者の意見に耳を傾け、より広い視点で都市を捉えられるようになること。そして、単なる賛否の議論を超え、都市と建築の理想的な関係性を探求することがこの特別授業の大きな目的です。
「建てる・建てない」という単純な二元論を超え、都市と建築のリアルな関係性を深く学んだ特別授業となりました。この経験は、将来彼らが手がける設計やまちづくりに必ず活かされるはずです。
