【LHR】3年生人権教育 LHR 「わたし」と「あなた」を知る~対人援助の基礎から~

6月22日(水)3年生人権教育LHR 「わたし」と「あなた」を知る~対人援助の基礎から~

川崎医療福祉大学より医療福祉学部子ども医療福祉学科の岡正寛子先生に講演をしていただきました。高校3年生の生徒は同じ年齢であり、同じ趣味を持つ人も多く、価値観は比較的似たような環境で生活しています。しかし、就職先の環境では、上司や先輩など年が大きく離れた人と関わり、同じ趣味を持つ人も今より少なくなり、これからは、価値観の違いに戸惑う経験をしていくと思います。そこで今回は、価値観の違いをどのように解決できるかをテーマに授業を行っていただきました。
最初に「ぬいとうつとこめのなやでこちぼんああさいこどうぶしほなおた」の答えは「ねこ、うし、いぬ」のどれでしょう?と問題が出ました。生徒は皆目見当がつかない表情でした。この問題の意図は、「学習障害の子どもは平仮名の区別が難しい。‘ぬ⇔ね⇔め’‘い⇔こ’などの文字が同じに見えてしまう。教室の中にいても見た目や行動はみんなと同じように普通に生活しているが、文字の判別がつきにくい人がいます。人それぞれに考え方や得意なことは異なっています。」と見え方が人によって異なることを学びました。
次に、「桃太郎のお供の3匹(犬・猿・雉)の中から、鬼退治への貢献度に応じてランキングをつけよう。その理由も考えてみよう。」という演習をグループで行いました。意見が同じになるのはなぜか?意見が分かれたとき何を優先させたか?最も優先させた価値は何か?などグループで話し合い、多数決をせずにグループの意見をまとめてみました。
ランキングも理由も多種多様であり、自分の意見を相手に一生懸命伝えようとする姿が各教室で見られました。この演習から、人と人との関わりは、「異なる価値観」を持つ者同士の関わりであることが実感でき、楽しく勉強していました。しかし、現実の社会では、異なる価値観を理解できず、さまざまな問題がおきています。その一つに「児童虐待」があり、虐待を受けている子どもの気持ち、虐待をしている親の気持ちを考えてみました。「虐待をされていても親のことが大好きな子どもが多くいること」「子どものことがかわいくてしょうがないけど虐待をしている親が多くいること」を学びました。このような社会問題を解決するためには、①自分自身で解決する②親しい人に解決してもらう③専門機関に相談するというプロセスが一つあります。しかし、誰にも相談できず、悩みを抱えこんでしまう人も多くいます。そのような状況で自分は何をすべきか、何ができるかを考えました。
生徒の中では、「子どもの時と今とでは親に対する考え方や捉え方が異なっていることに気づいた。自分が親になったとき、自分の親のように接することができるのか不安になったけど、そんなときこそ親しい人や専門機関に相談することが一番だと思った。」「周りの大人として、もし児童虐待が起きているのであれば、自分は相談に乗ることが一番だと思う」など、生徒それぞれに人権課題を自分のこととして一般化してくれていました。
最後に講師の方から、「同感は、私もそう思う」という意味であり、「共感は、自分と相手は違うことを前提として理解する」という意味であり、同感ではなく共感することが大切であると言われ、「共感の気持ちで、上司や子どもなどいろいろな人と関わっていきたい」と前向きなコメントをしてくれた生徒もいました。