【機械科】東京パラリンピック・パワーリフティング競技用 ベンチプレス台 2号機の製作

 昨年度、岡山南ロータリークラブの援助を受け、パラ・パワーリフティング競技の強化事業として、本校機械科に依頼が舞い込んできた。・・・そして、昨年度のベンチプレス台第1号機が完成した。
 その強化事業の2年目として、2号機の作成依頼がまた来た。パラ・パワーリフティングクラブの岡本代表や競技者の方々と昨年の春頃に話し合い、1号機の改善点として幾つかあがった。

その1.重たくて持ち運びに不便なので、軽量化を図ってほしい。
その2.障害者の方々の配慮を考えて設計してほしい。
その3.補助者がバーベルの補助をしやすいように、補助者用の足場を作ってほしい。
その4.重たいバーベルのセッティングがしやすいように、ジャッキの取り付けをお願いしたい。

以上の条件を全てクリアー出来るよう、設計からの取り組みが開始された。しかし、なかなか良いアイディアが浮かばず、また軽量化のために薄い鉄板の厚さ3.2mmの1辺60mmの角パイプを使用した溶接を試みたが、失敗の連続であった。・・・

その原因は、薄い鉄板なため、溶接によって歪んでしまい、どうしても上記の60mmの角パイプの中にスライドさせてバーベルを支える大切なインナーバーがはまらない状態になる。・・・
そこで、かなりの時間を費やし、紆余曲折を経て1辺60mmの角パイプの厚みを4.2mmにして、歪まないような工夫を凝らし試みた結果、なんとか成功したのをきっかけに急ピッチで製作が始まった。

結局、軽量化を図ったが、うまく行かず持ち運びに便利な、世界初かもしれない分解型のベンチプレス台ではどうかという意見が出て試みた。それは画期的な軽四輪自動車にも乗せれる5分割方式である。

けがき・材料取り・バリ取り・溶接・穴開け・面取り・現物合わせ・などなど 生徒諸君は、放課後何度も残って作業の前にミーティングと打ち合わせを重ね、黙々と作業を熟していった。

そして、ついに完成したのは、昨年の12月上旬であった。本当に嬉しかった。とてもプレッシャーがあった。・・・

昨年12月18日(水)の午後、本校 機械科に専門家と岡山南ロータリークラブ関係者が集結して、マシンの最後の調整とインナーバーの先端の溶接による取り付けが行われた。その時、関係者の皆さんから、口を揃えて素晴らしい!分解方式なんて初めて見た。との絶賛の声。心に響いた瞬間だった。

今年1月19日(日)9:00~本校 機械科でベンチプレス台の贈呈式が行われました。自己紹介の後、製作についてのプレゼンに続いて、贈呈式が行われ、実際に障害者の方が2人来られていたので、パワーリフティングの練習風景のデモンストレーションを見せて頂きました。製作した生徒達も実際にバーベルを上げてみました。とても和やかな雰囲気で充実した時間を共有する事ができ、とても達成感に満ちていました。

岡山工業高生徒が製作している障害者のパワーリフティング用ベンチプレス台 
山陽新聞2019.12/19付
岡山工業高生徒が製作したベンチプレス台
山陽新聞2020.1/25付

写真は、昨年12月19日付・今年1月25日付の山陽新聞の記載内容です。
健常者も障害者も共有して、目標持って一緒になって、「みんなやればできる」というメッセージをいただきました。途中本当に大変だったですが、完成して本当に人のために何かの役に立てる行為は、人の人生を豊かにするものと学ばせて頂いた貴重な経験でした。
関係者の皆さん・本当にありがとうございました。

岡工機械科 ベンチプレス台製作班一同